エレクトロケミカルマイグレーション試験(ECM)は、高温高湿環境と電圧印加条件を組み合わせ、配線間や電極間で発生する金属イオン移動を評価する試験です。水分やイオン性残渣が存在する状態で電位差が加わると、金属が溶出・移動・析出し、デンドライトと呼ばれる樹枝状の金属析出物が形成されます。
デンドライトが隣接配線へ到達すると短絡が発生し、回路の誤動作、通信異常、電源障害、機能停止につながる可能性があります。プリント基板、フラックス、はんだ材料、表面処理、実装工程の信頼性確認に有効です。
試験の目的
本試験では、高温高湿環境下で供試品にバイアス電圧を印加し、絶縁抵抗値の変化を連続測定します。抵抗低下の発生時刻や変化傾向を把握することで、ECM発生リスク、絶縁劣化の進行、工程残渣や材料差の影響を評価できます。
ECMの発生メカニズム
- 陽極側の金属が金属イオンとして溶出します。
- 金属イオンが水分やイオン性残渣を介して陰極側へ移動します。
- 陰極側で金属が析出し、デンドライトとして成長します。
- デンドライトが隣接配線に到達すると短絡が発生します。
評価できること
- 絶縁抵抗値の低下傾向。
- 短絡発生までの時間。
- フラックス残渣や洗浄条件の影響。
- はんだ材料、基板表面処理、配線間隔の比較。
- ECM発生後の故障部位と析出物の解析。
対応供試品
- プリント基板、評価用くし形基板。
- 電子部品実装基板、モジュール基板。
- フラックス、ソルダーペースト、はんだ材料。
- 各種評価用サンプル、実装工程変更品。
試験の流れ
- 供試品、配線パターン、判定抵抗値、印加電圧を確認します。
- 恒温恒湿試験器内へ供試品を設置し、測定チャンネルへ接続します。
- 温湿度、印加電圧、測定間隔、試験時間を設定します。
- 試験中の絶縁抵抗値を連続記録し、異常発生時刻を確認します。
- 必要に応じて観察・分析を行い、短絡原因や析出物を解析します。
ETACの対応
ETACでは、恒温恒湿試験器と絶縁信頼性評価システムを組み合わせ、多チャンネルで長期間の連続監視に対応します。HAST、断面観察、SEM観察、EDX元素分析、X線CT解析と組み合わせることで、ECM発生リスクの評価から原因解析まで一貫して支援します。